創業融資や補助金等を受けるにあたり必ず作成が求められるのが事業計画です。事業計画は創業融資や補助金等の審査の拠りどころとなる重要な資料であり、実現可能性の有無がポイントとなることから、記載内容の根拠等についての十分な検討が求められます。
事業計画とは
創業段階における事業計画は、将来の損益計画や資金計画はもちろん、立ち上げる事業の目的や社会に対してどのように貢献していくのか等についても記載します。記載内容は多岐に及びますが中小企業庁が公表している創業者向けのパンフレット(『夢を実現する創業』)を参照するとおおよそのイメージがつかめるでしょう。
ただし、実際の創業融資や補助金等の申請書類には所定の書式が設けられているため、実際にはそれぞれの書式に応じて計画数値等を落とし込んでいくことになります。
実務における事業計画の一例
それでは実際の融資申請において用いられている事業計画書を見てみましょう。ここでは、創業融資として広く利用されている日本政策金融公庫の書式(『創業計画書』)を引用します。
『創業計画書』では、創業の動機、経営者(融資を受ける方)の経歴から始まり、提供する商品やサービスの概要説明、資金計画、損益計画が一覧できるよう1枚の用紙(A3サイズ)にコンパクトにまとめられています。これらの項目は融資審査における経営者面談においても口頭により確認される事項となっていますので、面談を受けるにあたっては経営者自らがきちんと説明できるようにしておくことが求められます(なお、中小企業経営力強化資金等の融資申込みにおいては所定の『事業計画書』の提出も求められます)。
創業時における事業計画の詳細については、公表されているQ&Aも参考になるでしょう。
創業者の心得
事業計画に記載する項目には、創業する事業の内容や創業の動機といった定性的な項目と、資金計画や損益計画といった会計の知識を必要とする項目があります。定性的な項目は創業者自らが記載することになると思われますが、資金計画や損益計画などの数値面のすべてを専門家に委ねてしまうのは必ずしも望ましいとはいえません。
融資審査の面談において損益計画の内容や根拠について口頭による補足説明が求められた場合、おおよそについては創業者自らが説明できる必要があります(融資担当者も創業者がどのくらい真剣に事業計画を検討しているかを面談でのやりとりを通じて確認しています)。もちろん数値面において会計の専門知識を必要とする部分もありますので、詳細な部分については専門家のサポートやアドバイスを受けると良いでしょう。